顧客がどれだけ、自分達のプロダクトやサービスに価値を感じているかを、より正確に測るNPS(ネット・プロモーター・スコア) というビジネスの重要指標があります。(NPSについてはこちらで詳細を紹介していますので、よろしければご覧ください)

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NPSは顧客のエンゲージメントを気にするカスタマーサポートやカスタマーサクセスなどの部門で重要指標としてモニターされますが、一方で、売上や利益のようにビジネスの状態をそのまま表している指標ではない点において、他の部門、特に営業やマーケティング関連の部門では気にかけられない、といったこともあるようです。

そこで、世界最大のSaaSコミュニティやイベントを管理・運営するSaaStrから、経営者・投資家・ビジネス担当者の観点から、最初は好ましく思っていなかったNPSを、なぜ重要に考えるようになったのかを紹介する記事がありましたので、こちらに、要訳として紹介します。

  • I Was Wrong. NPS is A Great Core Metric. - リンク

SaaSスタートアップの創業者だった私は、ネット・プロモーター・スコア (「NPS」) はややばかげた大企業の指標だと思っていて、例えば以下のような理由で、あまり好ましい指標だと思っていませんでした。

  • 過去に対する指標のため、見込み顧客や直近獲得した顧客が将来どうなるのかについて、多くのことを教えてくれない。
  • アップセル、キャンセル、収益など、ビジネスの直接的な指標と結びついておらず、収益からかけ離れた抽象的な指標である。「42」という曖昧なNPSのスコアよりも、セグメントごとのネット・レベニュー・リテンション率(訳者注:プランのアップグレードや、アカウント増加に伴う収益増を考慮したリテンション率。詳細はこちらで紹介をしています)が改善しているかどうかの方が重要でした。
  • 顧客は競争力がなくなった古いプロダクトを気に入る可能性があるため、自分達のプロダクトやサービスの将来のイノベーションを測ることができない。私は高いNPSのスコアに喜んでいる大企業を見てきましたが、プロダクトが陳腐化し、競合がマーケットに参入し、彼らに取って代わることを見てきました。

NPSに対するこれらの批判はいずれも間違ってはいません。しかし、定期的に測定されたNPSには、批判に負けないぐらいの大きな利点があることに私は気付きました。

これまで、私は35社以上のSaaS企業で働き投資をしてきましが、その多くがNPSを注意深くモニターしており、私はとてもそれを良いことだと考えています。

そこで、私がこのように考えるに至った理由を紹介します。

私が NPS を気に入っている理由:

  • NPSはSaaSのスタートアップが本当に注目すべきことに、目を向けさせてくれます。 これが、私が最も好きなNPSの「機能」です。SaaSのビジネスをやっていると、様々な役割を持ったチームや幹部が、プロダクトの品質について議論することがあります。例えば、開発チームは現在の機能で十分だと考えていて、カスタマーサクセスは、全てをすぐに改善しなければ、全ての顧客を失ってしまう、と考えるかもしれません。営業は案件の受注のためには、いくつかの機能が追加で必要だと考えるかもしれません。では、誰の意見が正しいのかというと、それはNPSなのです。NPSは顧客の声です。NPSが高ければ、機能が足りていなかったり、他の問題があったとしても、正しいことをしていることになります。もしNPSが低いなら、行動を起こすべきなのです。あなたが思っているよりも、顧客はあなたのプロダクトを評価をしていないかもしれません。これは非常に重要なことです。
  • NPSは大口顧客のネット・レベニュー・リテンションを予測することに適しています。NPSが高ければ、少なくとも大口顧客においては、タイマーのように、いずれ、プランのアップグレードやアカウントの増加が生じます。今はそうでなかったとしても、顧客にプロダクトが愛されていれば、そういった顧客からはより多くの収益を得られるようになります。
  • NPSは私が思っていたよりも、相対的な指標として機能します。あなたのプロダクトのNPSを他のサービスやプロダクトと比較して、なぜあなたのNPSが他のサービスと比べて高いのか、あるいは低いのかを理解してください。
  • NPSは自信をもたらします。仮に1億から3億円のARR(年間定期収益)をあげることに苦労していたとします。もし、NPSが非常に高ければ、安心してください。あなたのビジネスは必ず大きく成長します。

以上、要約終わり。

今回は、世界最大のSaaSコミュニティやイベントを管理・運営するSaaStrの創業者が、最初は好ましく思っていなかったNPSを重要に考えるようになった理由を紹介しました。

記事の中でも紹介されていましたが、確かにNPSはビジネスの実績に直結している指標ではないものの、それを上回る利点があると言えます。

また、NPSは、例えばGoogleフォームなどのアンケート作成サービスを利用すれば、無料で、すぐにでもモニターし始められる側面もあるため、ビジネスの改善のためのデータ活用の第一歩として取り組みやすいトピックの1つと言えます。

さらに、NPSのサーベイ実施するときに、「スコアを付けた理由」あるいは「自分達のサービスやプロダクトへの改善点」などの自由記述の質問をして、NPSのスコアと自由記述の回答と組み合わせた分析をすることも可能です。

NPSのスコアが高いまたは低い顧客が、どのような単語を多く利用しているかを理解することで、自分達のサービスやプロダクトの改善点を発見することもできます。(こちらで詳しいやり方を紹介していますので、ぜひご覧ください)

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