今回のEDAサロンのお題は「インフレーション」です。インフレーションとは、経済の価格水準が全般的に上昇することをいい、現在世界ではインフレーションが起きているとされています。
果たして本当にインフレーションが起きているのか、起きているのであればどういったプロダクトがインフレーションに直面しているのかをデータで確認していきます。
インフレに関する各種指標はFREDというFRBが公開している経済指標データから取得することができます。詳しくは、こちらのEDASalonの紹介ページをご覧ください。
インフレーションを測るためには、消費者物価指数(CPI)のトレンドを追い、物価指数が大幅に上昇しているとインフレーションに転じていると考えられます。そのため、直近5年間の主要な国の消費者物価指数のトレンドを可視化してみます。
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このデータは、各国の全品目での消費者物価指数のデータを使用しています。2017年以降の消費者物価指数を可視化すると、多くの国は2020年3月に物価指数が落ち込んでいるものの、2021年から大幅に上昇していることがわかります。
アメリカと日本にハイライトしてみると、アメリカは2020年までの物価指数は2から3以下までで落ち着いていたようですが、2021年以降に物価指数が急激に上がり、3倍近く上がっているようです。
日本は2020年から2021年にかけて落ち込んでいた物価指数を回復しているように見えますが、アメリカと比べて大幅な上昇にはなっていません。日本でも商品価格の変更のニュースなどが流れるようになり、今後日本もアメリカと同じようにインフレーションの一途を辿るかもしれません。
先程の消費者物価指数のトレンドでいくつかの国で2021年から物価が急激に上昇していて、インフレーションが起きているのがわかりました。先ほどは、全品目で見ていましたが、どういったプロダクトで物価が上がっているのでしょうか。
そこで、インフレーションを物語る3つのプロダクトを取り上げて紹介していきます。
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石油などのエネルギー類は多くの産業に関連しているため、石油の価格はインフレーションを測る指標としてよく使われます。2017年以降で見ると、2021年から石油の価格は上がり始め、2022年に入るとより急激に高騰していることが確認できます。
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天然ガスも同じく、石油と同じく2021年から価格が急激に高騰していることが確認できます。これらのエネルギー類の価格が上昇すると、他の産業も原価が高くなってしまうために物価を上げざるを得なくなってしまいます。
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小麦の価格も2020年の後半から上昇していることが確認できます。小麦の価格が上がると、パスタやパンなどの価格も上昇することが想定されます。ウクライナとロシアの戦争で注目されていた小麦ですが、実は戦争が始まる前から価格は高騰していました。今後どれだけ小麦の価格が上がっていくのかは注意して見ていく必要がありそうです。
今回は各国の消費者物価指数や主要なプロダクトの消費者物価指数を確認してきました。
今回のインフレーションはコロナウイルスによって生産が落ちたことにより供給量が低下し、需要より供給量が少ないことで物価が高くなる「コスト・プッシュ・インフレ」だと言われています。
また、ウクライナとロシアの戦争によって、ロシアは経済制裁の措置を取られる方向に進んでいます。ロシアはエネルギーや小麦の生産大国で、これらの輸出ができなくなると供給減による大幅な価格の上昇が見込まれます。
物価が高くなるとともに賃金も上昇すればいいのですが、賃金が上昇しない場合は同じ収入で買えるモノの量が減ることになり、実質的に収入減になってしまいます。
日本に住んでいると、まだインフレーションの効果を感じづらい部分もあるかと思います。ただ、インフレーションは生活に大きな影響を与えるからこそ、今後の世界情勢や経済状況を自分の目で見ていくことは重要であると感じました。
ぜひ皆さんも自分の興味のあるプロダクトの物価指数を可視化して見てください!
本編ではインフレーションに関連する消費者物価指数を可視化していましたが、消費者物価指数と失業率や個人消費支出、賃金などの関係性はどうなっているのでしょうか。
そこで、消費者物価指数と失業率の関係を調べてみました。
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上記はアメリカの失業率の推移を可視化したラインチャートです。コロナウイルスによって2020年には失業率が急激に上昇していますが、それ以降降下しており元々の水準にまで下がってきているようです。
なぜ、ここで失業率を見たかというと、インフレーションと失業率には関係があると言われているからです。インフレーションは実質金利や実質賃金を引き下げるため、企業は投資を促進したり「労働需要」を高める効果があると言われています。
関係があるのかをみるために、消費者物価指数(CPI)と失業率を一緒に可視化してみてみます。
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上記はY1軸に消費者物価指数(CPI)を、Y2軸に失業率を可視化したラインチャートです。この2つのトレンドを見ると、少し時間のずれがあるようですが同じような傾向があるように見えます。
2010年以降に絞って見てみます。
コロナウイルスによって2020年に消費者物価指数が下がったタイミングで失業率が上昇しているのがわかります。2021年以降になると消費者物価指数が上がっていますが、その反面失業率が下がっているようです。