先月(2024年1月)のGDPの発表によると、日本は正式にリセッション入りしたとのことですが、その割には失業率などの経済指標を見ると状況はそこまで悪くありません。もちろん、他の国々と比べてということですが。
こちらはOECD加盟国の最新(2023年12月)の失業率を並べたものです。
日本の失業率は他の国に比べてダントツで低いのがわかります。
もちろん、景気が悪くなっているかどうかというのは失業率が悪くなってきているのか、つあり上がってきているのかどうかということですね。
そこでこちらに2021年以降の日本の失業率の推移を出してみました。
若干ですが下がっていってる傾向です。残念ながら手元にあるデータは去年12月が最新ですので、先月である2024年1月がどうなっているのかはここからはわかりませんが、一部の推定によるとそこまで変わってないとのことです。
ところで最近日本のGDPを追い越したとニュースになっていたドイツの失業率はどうか日本とドイツを比べてみました。
日本の方が状況は良いですね。
ここで他のOECD主要国と比べてみました。グレーの線はすべての国の平均値で、その周りの帯は標準偏差1の幅を表示したものです。
これを見るといかに日本の失業率が期間を通して非常に低いか、そして、安定しているかがわかると思います。ちなみに、スペインやギリシャなどは失業率が10%ほどとなっています。10人に1人が仕事がないと考えると、経済状況は大変厳しいようです。
ところで、いつもニュースなどで報道されるのは全体の失業率ですが、その影に隠れて世界的にひどいのが若者の失業率です。
こちらは先ほどのOECDの国々の全体の失業率(青)と若者(15歳から24歳)の失業率を同じ期間で比べたものです。
まず、最初に目に飛び込んでくるのがスペイン、ギリシャ、イタリア、スウェーデン、フランスなどの若者の失業率の異様な高さです。例えば、スペインは約30%(28.6%)、つまり仕事を探してる若者たちの3人に1人は仕事が見つからないということです。
それに対して日本の場合は約4%(3.7%)、100人に4人、25人に1人が仕事が見つからないということで、他の国と比べて圧倒的に低いです。
また、私が個人的に驚いたもう一つの点は、どの国も全体の失業率と若者の失業率の間に大きな差があるということです。例えば、スペインは17%ほど、スウェーデンは16%ほどの差があります。
それに対して日本はたったの1.3%の違いです。
日本だけを見ているとわかりませんが、他の国の経済状況、特に就労状況と比べると、日本で生活することができるということは大変恵まれていることなのだと言うことですね。
特に若者にとっては。
多くの人にとってはいまだに憧れのフランスですが、この国の若者はは、ほぼ5人に1人の割合で仕事が見つけられません。
また、日本では何かと「社会制度の進んだ」国々と言われる北欧ですが、例えばスウェーデンなどでは若者であれば5人に1人が仕事が見つからない状況です。
日本では何かと政治家、官僚、企業、などのスキャンダルのニュースが紙面を飾り、TVなどでも連日のように報道され、そういうニュースばかり見ていると日本はだめだ、という気持ちになってしまう人もいるかもしれません。
しかし、そんな中でも日本の経済を何とかしっかり支え、回してる人たちが政府にも、官僚にも、経営層も従業員も含めた企業にもいる、日本人が勤勉に毎日働いていることの現れではないでしょうか。
もちろん、現在のアメリカ政府の抱える天文学的な債務や経済状況を考えると、これからどうなるのかには予断を許しません。しかし、他国に比べて圧倒的に安定した雇用状況が日本にはあるという事実は、もっと注目されても、そして恵まれていると認識しても良いのではないかと思います。
少なくとも、それが他の国々から見た素直な印象でしょう。
今回の失業率に関する考察と、さらに上記のチャートの作り方、データの取得方法について、以下のビデオにまとめましたので、興味のある方はぜひご覧ください。