先日、ノルウェー、アイルランド、そしてスペインの3カ国がパレスチナを国家として認める国に新しく加わるという発表がありました。(リンク)
こちらに日本語訳のついた会見の様子があります。
速報:アイルランド、ノルウェー、スペインがパレスチナ国家を認める https://t.co/jo3u4NTtgF pic.twitter.com/BGzfTG7Y5u
— ShortShort News (@ShortShort_News) May 22, 2024
今回はヨーロッパ、いわゆる欧米と言われる地域からの3カ国がパレスチナを国家として認める発表したということで話題になっていました。つまり、ニュースになるほどにパレスチナを国として認めるのは「特別」なことということです。
ところで、そもそも現在時点でパレスチナを国家として認めている国はどれくらいあるのでしょうか?そしてそれらの国はどういった地域にあるのでしょうか?例えば、同胞であるアラブ人またはイスラム教の人たちが多い国はパレスチナを国家として認めているが、そうでない国は認めていないのでしょうか?
実は、世界の143カ国(ノルウェー、アイルランド、スペインを除く)が現在パレスチナを国家として認めています。
今回発表のあったノルウェー、アイルランド、スペインを加えると146国となります。これら3つの国は濃い緑にしてあります。
こうして見てみると、世界中の大半の国がすでにパレスチナを国として承認しているとの現実に、正直びっくりしました。
ところで、いつもそうだったのでしょうか?
そこでパレスチナを国家として認めた年代ごとに見てみると、80年代までにはすでに東ヨーロッパ、アジア、アフリカの大半の国々が認めていたとのことです。
その後の大きな流れは2010年代にほとんどの中南米の国々が認め始めたようです。
日本はパレスチナをまだ国として認めていないようですが、よく考えたら不思議です。
というのも少し前に、国連でパレスチナを正式なメンバーとして迎えるかどうかという決議がありましたが、その際には日本や韓国は賛成しているからです。
ところで、イスラエルを国として認めない国はあるのでしょうか?
我々日本人からするとイスラエルが国というのは当たり前な気がしますが、世界にはイスラム系の国などにイスラエルを認めないという発言を公にする国もあります。
そこでこちらもデータを取ってきて可視化してみました。
すると、やはり中東、北アフリカ、東南アジア地域のイスラム系の国々などがイスラエルを国として認めていないようです。また、最近南米のコロンビアやボリビアはガザの惨状を踏まえて外交関係を中止しています。正式な外交関係を持っているのは現在161カ国とのことです。
よく日本では政治家が「台湾有事は日本の有事」という発言をします。台湾は一般的には「親日国」と認識されているため、感情的には理解できるのですが、多くの人にとっては腹落ちしにくいのではないでしょうか。
というのも、日本は「1つの中国」を認めると中国と70年代に平和条約を結んだときに約束をしているのです。つまり、台湾は中国の一部であり、国としては認めないという約束です。その台湾に中国が侵略したら、それに対して日本は台湾を守るというのが「台湾有事は日本の有事」ということだと思うのですが、これは台湾が独立国家だという前提があるのではないでしょうか。
隣りにある独立国家に対して侵略してくる中国は、その次は日本に侵略してくる、という理論ですね。たしかにこれは地政学的にはあり得る話だと思います。ただ、この前提は台湾が日本と同様に独立国家であるということです。
しかし、現在日本は台湾を国としては認めていません。パレスチナと同じです。さらに世界中で台湾を国として認めている国はほぼありません。
地図にしてもどこにあるかわからない国ばかりなですが、以下の国々です。
つまり、日本だけでなく国際社会からも台湾は国として認められていないというのが現実なのです。
ロシア・ウクライナ戦争が始まったときも、ロシアのウクライナに対する侵略を止めることができなければ次は北海道にロシアがやってくると恐怖を煽る人たちがいました。そこで日本は欧米と歩長を合わせてロシアに対する金融、経済制裁を行ったのですが、その効果は全く無かったどころか、むしろ天然資源の輸入コスト高というネガティブな効果として自らに帰ってきたというのが現実でした。
北朝鮮のような、国家的に日本人拉致を行い、その人たちの返還にも応じない、いわゆる「ならずもの国家」を国として認め、国連の正式メンバーとして迎えることを支持し、さらに世界の大半の国が国として認めているパレスチナは国として認めず、そして自らも含め世界の殆どの国から国として認められていない台湾に対しての有事は自国の有事とする。
もちろん外交とは欧米を含めた他国との関係がある中で行われるわけですから、その舵取りは複雑で難しいとは思います。ただ、現実として「国として認める」かどうかというのは、何らかのしっかりとした基準があるわけではない、ということはしっかりと認識しておいたほうがいいと思います。
そして、私達日本人は現在自分たちの国があり、国であることを国際社会に認められ、ほとんどの国に日本人として訪れることができる、こうしたことは当たり前に見えますが、ある国や地域にとっては当たり前ではありません。このことに私達はもっと感謝してもいいのではないかと思います。
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